
−8.00%。2026年10月15日(木)12時38分(日本時間も同じ)、韓国の代表的な株価指数KOSPI(コスピ)が前日比でここまで下がり、取引が20分間止まりました。
その15分前の12時23分には、新興企業が多いKOSDAQ(コスダック)も−8.01%で同じく停止。韓国の2つの市場が同じ日にサーキットブレーカーで止まるのは、7月29日以来、約2か月半ぶりです(聯合ニュース)。
「韓国株が8%も?」「日経平均は大丈夫?」「サムスンやSKハイニックスが下がると、日本の半導体株にも響くの?」——そんな疑問を持った方に向けて、この日に何が起きたのかを、日本の制度と比べながら整理しました。
結局この日の終値は、KOSPIが5,554.22(前日比−454.59ポイント、−7.57%)、KOSDAQが760.82(−63.06ポイント、−7.65%)でした。KOSPIの下げ幅・下落率は7月28日以来、約2か月半ぶりの大きさで、7営業日連続の下落です(聯合ニュース)。日経平均も64,425.95円(−3,318.34円、−4.90%)で取引を終えました(日経平均プロフィル)。
この記事のポイント
- KOSDAQは12時23分に757.88(−8.01%)、KOSPIは12時38分に5,528.05(−8.00%)でサーキットブレーカー発動。取引は20分間停止しました。
- 2市場同日の発動は7月29日以来、約2か月半ぶり。朝のうちには「売りサイドカー」も両市場で出ていました。
- 背景は、予想を上回った米国の9月CPI(消費者物価指数)と、AI投資の資金繰り・収益性への不安。サムスン電子は7%台、SKハイニックスは10%前後の下落と報じられました。
- ウォンは対ドルで1ドル=1,350.7ウォン(11時10分時点)まで下落。1,350ウォン台は10日ぶりです。
- 日経平均も大きく下げ、13時48分時点で64,692.81円(−4.50%)。東京エレクトロンやアドバンテストなど日本の半導体関連株も下落が伝えられました。
- 日本の現物株市場には、市場全体を止めるこの種のサーキットブレーカーはなく、銘柄ごとの「値幅制限(ストップ高・ストップ安)」が中心です。
10月15日、韓国市場で何が起きた?(時系列)
まずは数字で、この日の流れを追ってみます。韓国と日本は時差がないので、時刻はそのまま日本時間として読めます。
| 時刻(KST) | 出来事 |
|---|---|
| 前日(10/14) | KOSPI終値6,008.81(アジア経済)。米国では予想を上回るCPIを受けてハイテク株が下落(CNBC) |
| 9:00 寄り付き | KOSPIは5,673.01(−5.59%)で始まる(アジア経済) |
| 朝の取引時間中 | KOSPI・KOSDAQで「売りサイドカー」が相次いで発動。KOSPIは5%超の下落で、プログラム売買が5分間止まる(聯合ニュース、Korea Times) |
| 10:00 | サムスン電子214,500ウォン(−7.54%)、SKハイニックス127万ウォン(−10.50%)。KOSPI 5,598.73(−6.82%)(ヘラルド経済) |
| 11:10 | ウォン相場1ドル=1,350.7ウォン(前日比12.4ウォンのウォン安)。3年物国債利回りは3.841%に低下(イートゥデイ) |
| 11:20 | KOSPI 5,604.6(−6.73%)(Korea Times) |
| 12:23 | KOSDAQがサーキットブレーカー発動。757.88(−66.00ポイント、−8.01%) |
| 12:38 | KOSPIもサーキットブレーカー発動。5,528.05(−480.76ポイント、−8.00%) |
| 停止後 | 20分間の取引停止のあと、10分間は「単一価格売買」(日本の板寄せに近い方式)で取引再開(聯合ニュース) |
| 午後 | KOSPIは一時5,450.81(−9.29%)まで下落し、5,500を割り込む(聯合ニュース) |
| 15:30 大引け | KOSPI終値5,554.22(−454.59ポイント、−7.57%)、KOSDAQ終値760.82(−63.06ポイント、−7.65%)。KOSPIは7営業日連続の下落(聯合ニュース) |
寄り付きの時点ですでに5%以上下がっていたので、「朝から一方的に売られた日」だったことがわかります。
ちなみに10月13日にもKOSPIは5.46%下げて6,035.35で終えており(イートゥデイ)、今週は大きな下げが続いています。
なぜここまで下がったの?3つの理由
理由1:米国のインフレが予想より強かった
米国の9月の消費者物価指数は前月比0.6%上昇と、4月以来の高い伸びでした(Korea Times)。
イートゥデイによると、専門家は「2か月連続で予想を上回り、エネルギーだけでなくサービスでもコスト面のインフレが確認された」と分析しています。
インフレが強いと、米国の中央銀行(FRB)がさらに利上げするのでは、という見方が強まります。金利が上がると、借金をして大きな投資をする企業ほど負担が重くなります。
理由2:「AIへの巨額投資は本当に回収できるのか」という不安
ここが今回のいちばんのポイントです。AIデータセンターの建設には莫大なお金がかかります。
金利が上がれば資金調達のコストも上がり、「AIの投資ブームはこのまま続くのか」「本当に利益になるのか」という疑いが広がりました(CNBC、ヘラルド経済)。
イートゥデイは、債券・為替市場が「米CPIよりもAI発の信用リスク」に注目していると伝えています。アジア経済も、高い物価と「AI産業の収益性への懸念」を背景に挙げました。
理由3:韓国株は半導体の比重がとても大きい
KOSPIは、サムスン電子とSKハイニックスの2社の影響がとても大きい指数です。AI向けのメモリー需要への期待でこれまで相場を引っ張ってきた2社が、そろって大きく下げました。
ヘラルド経済によると、外国人投資家はこの日の午前だけでKOSPIを1兆ウォン以上売り越しました。期待で上がってきた分、不安が出ると下げも大きくなる——今回はその典型です。

日経平均と日本の半導体株への影響
日本市場も無傷ではありませんでした。日経平均株価は、日経平均プロフィル(日本経済新聞社)の数値で13時48分時点64,692.81円、前日比−3,051.48円(−4.50%)。前日の終値は67,744.29円でした。
韓国ほどではないものの、日本でも4%を超える大きな下げです。きっかけは同じで、前日の米国ハイテク株安が、時差の少ないアジアの半導体株に一気に広がった形です。
CNBCは、日本でもソフトバンクグループが7.9%、半導体検査装置のアドバンテストが6.9%、半導体製造装置の東京エレクトロンが5.4%、ルネサスエレクトロニクスが5.4%下げたと報じています(いずれも取引時間中の数字)。
日本の製造装置・検査装置メーカーにとって、韓国のメモリーメーカーは大切なお客さんです。サムスンやSKハイニックスの投資が減るのでは、という連想が働くと、日本の関連株にも売りが出やすくなります。
なお、半導体材料メーカー各社の当日の値動きは、信頼できる情報源で確認できなかったため、この記事では取り上げていません。
日経平均の終値は64,425.95円、前日比−3,318.34円(−4.90%)でした(日経平均プロフィル)。午後にかけて下げ幅はさらに広がりました。
ウォン安・円との関係は?
為替では、ウォンが売られました。イートゥデイによると、11時10分時点で1ドル=1,350.7ウォン。前日より12.4ウォン(0.93%)のウォン安で、1,350ウォン台は10月5日以来、10日ぶりです。
株が急落すると、外国人投資家が韓国株を売ってドルに替えるため、ウォンには下落圧力がかかります。今回もその流れでした。
一方で記事では、半導体輸出が好調で、輸出企業のドル売りがウォン安の歯止めになっているとも指摘しています。専門家は「来年まで見ても1ドル1,400ウォンを超えるのは難しい」との見方を示しました。
円とウォンの当日のレート(100円=何ウォンか)は、信頼できる情報源で数字を確認できなかったため、ここでは書いていません。両替や送金を考えている方は、銀行などの最新レートを直接確認してください。
サーキットブレーカーとサイドカーってなに?
韓国の株式市場には、急な値動きで混乱しないよう「ブレーキ」が2種類あります。
サーキットブレーカー:市場全体を止める
韓国取引所(KRX)は、KOSPIまたはKOSDAQが前日比8%以上下落し、その状態が1分間続くと第1段階のサーキットブレーカーを発動します(聯合ニュース)。
発動すると、20分間すべての売買が停止。取り消し以外の注文は受け付けません。再開後も10分間は、注文をまとめて1つの価格で約定させる単一価格売買になります。
要するに「全員いったん手を止めて、頭を冷やしてください」という仕組みです。
サイドカー:プログラム売買だけを止める
サイドカーは、もう一段手前のブレーキです。今回は朝のうちに発動し、Korea TimesはKOSPIの5%超の下落を受けて5分間の一時停止があったと伝えています。
止まるのはコンピューターによる自動の「プログラム売買」の注文で、ふつうの売買は続きます。自動売買が下げを加速させるのを防ぐのが目的です。
日本と違う点
日本の株式市場には、韓国のように「指数が○%下がったら市場全体を止める」仕組みは、現物株にはありません。代わりにあるのが、銘柄ごとの値幅制限(制限値幅)です。
東京証券取引所は、1日の値動きの幅を株価の水準ごとに決めています。たとえば基準値段が1,000円以上1,500円未満の銘柄なら上下300円まで(日本取引所グループ)。これを超えて動けないため、「ストップ高」「ストップ安」という言葉が生まれます。
| 項目 | 韓国(KRX) | 日本(東証・現物株) |
|---|---|---|
| 市場全体の取引停止 | あり。指数が前日比8%以上下落が1分続くと20分停止(第1段階) | 現物株には、指数連動で市場全体を止める制度はない |
| 個別銘柄の値動き制限 | あり(1日の上下の幅に上限) | あり。株価水準ごとの「制限値幅」(ストップ高・ストップ安) |
| 自動売買へのブレーキ | サイドカー:プログラム売買を5分停止 | 同じ名前・同じ形の制度はない |
| 再開のしかた | 停止後10分間は単一価格売買 | 値幅の上限・下限で買い手と売り手が釣り合わなければ取引が成立しない |
| 今回の数字 | KOSPI −8.00%(12:38時点)、終値−7.57% | 日経平均 −4.50%(13:48時点)、終値−4.90% |
※日本でも、大阪取引所の株価指数先物などデリバティブ取引には、別途サーキット・ブレーカー制度があります(日本取引所グループ)。上の表は現物株についての比較です。
日本は「銘柄ごとに歯止め」、韓国は「銘柄ごと+市場全体にも歯止め」。ニュースで「韓国市場が止まった」と聞くと驚きますが、ルールどおりに働いた安全装置、と考えるとわかりやすいと思います。

韓国株・韓国ETFを持っている日本の方へ
日本の証券会社を通じて韓国株や、韓国株に連動するETF・投資信託を持っている方もいると思います。売買を勧めるわけではありませんが、知っておくと落ち着いて状況を見られるポイントを挙げます。
- 値動きは「株価×為替」:円で見た評価額は、韓国株の値動きに加えて、ウォンと円のレートでも変わります。今回のようにウォン安が重なると、円換算の下げ幅が株価以上に大きく見えることがあります。
- サーキットブレーカー中は注文が通らない:停止中の20分間は取り消し以外の注文を受け付けません。日本の証券会社経由でも、現地の取引が止まれば約定しません。
- 日本で上場しているETFは日本のルールで動く:韓国株連動のETFが東証に上場している場合、その売買は東証の値幅制限などのルールに従います。
- 情報は公式・一次情報で:SNSの数字は古かったり、間違っていたりします。終値や為替は、取引所や報道機関の発表で確かめるのが安心です。
韓国旅行で両替を予定している方は、韓国旅行の両替・支払いガイド2026も参考にしてください。
公式・報道ソース
聯合ニュース(2026年10月15日12:45)
原文:「양 시장에서 1단계 서킷브레이커가 같은 날 발동된 것은 지난 7월 29일 이후 약 2달 반 만이다.」
日本語訳:「両市場で第1段階のサーキットブレーカーが同じ日に発動されたのは、7月29日以来、約2か月半ぶりだ。」
記事を読む(韓国語)
イートゥデイ(2026年10月15日11:22)
原文:「원·달러 환율은 전일대비(오후 3시30분 종가기준) 12.4원(0.93%) 오른 1350.7원에 거래 중이다(원화 약세).」
日本語訳:「ウォン・ドル相場は前日(午後3時30分の終値基準)より12.4ウォン(0.93%)上がった1,350.7ウォンで取引されている(ウォン安)。」
記事を読む(韓国語)
Q. よくある質問
Q. サーキットブレーカーが出ると、その日の取引は終わりですか?
A. いいえ。第1段階では20分間止まったあと、10分間の単一価格売買を経て取引が再開されます(聯合ニュース)。
Q. 日本でも株価が8%下がったら市場が止まりますか?
A. 東証の現物株には、指数の下落率で市場全体を止める制度はありません。銘柄ごとの値幅制限で値動きを抑える仕組みです(日本取引所グループ)。
Q. 今回の急落は韓国だけの問題ですか?
A. いいえ。米国のインフレとAI投資への不安が背景にあり、日経平均や日本の半導体関連株も大きく下げました。韓国は半導体の比重が大きい分、下げ幅が大きくなったと考えられます。
Q. 前回の「7月29日」はどんな日でしたか?
A. 聯合ニュースは、KOSPIとKOSDAQの両方で同じ日に第1段階のサーキットブレーカーが出た前回の例として7月29日を挙げています。今回はそれ以来です。
Q. 終値はいつわかりますか?
A. 韓国市場の通常取引は15時30分に終わり、終値はその後すぐ報道機関などから発表されます。10月15日の終値は、KOSPIが5,554.22(−7.57%)、KOSDAQが760.82(−7.65%)でした(聯合ニュース)。同じ日の日経平均の終値は64,425.95円(−4.90%)です(日経平均プロフィル)。
ご注意:この記事は、2026年10月15日の市場の動きと制度を説明するための情報提供であり、特定の銘柄・商品の売買を勧めるものではありません。投資の判断はご自身の責任で行い、必要に応じて証券会社や専門家にご相談ください。終値以外の数値は取引時間中のものです。
出典
- 聯合ニュース「コスピ・コスダック第1段階サーキットブレーカー発動…8%超の暴落(総合)」2026年10月15日12:45:発動時刻・指数・制度内容
- 聯合ニュース「「黒い木曜日」パニック…コスピ・コスダック7%台の急落で取引終了」2026年10月15日15:43:KOSPI・KOSDAQの終値、日中安値、7営業日連続下落
- イートゥデイ「債券・外為市場、米CPIよりAI発リスクに注目」2026年10月15日11:22:ウォン相場1,350.7ウォン(11:10時点)、国債利回り、専門家コメント
- アジア経済 2026年10月15日:KOSPI前日終値6,008.81、寄り付き5,673.01
- The Herald Business 2026年10月15日10:41:サムスン電子・SKハイニックスの株価(10時時点)、外国人売り越し
- The Korea Times 2026年10月15日:米9月CPI前月比0.6%、5分間の一時停止、KOSPI 11:20時点
- CNBC 2026年10月15日:日本の半導体関連株の下落率
- 日経平均プロフィル(日本経済新聞社):日経平均64,692.81円(10/15 13:48時点)、終値64,425.95円(−3,318.34円、−4.90%)
- 日本取引所グループ「制限値幅」
- 日本取引所グループ「制限値幅・サーキットブレーカー制度(先物・オプション)」:大阪取引所の指数先物のサーキット・ブレーカー制度
※2026年10月15日の大引け後(16時ごろ・日本時間)に、終値を聯合ニュースと日経平均プロフィルで確認して反映しました。イラスト:AI生成イメージ
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