日韓通貨スワップ3年延長へ!KOSPI急落の日に決まった「お金の非常用ロープ」をやさしく解説

日韓通貨スワップ延長のイメージ
日韓通貨スワップ3年延長(イメージ)
画像:AI生成イメージ

2026年10月15日、タイのバンコクで、韓国と日本の財務相が会談しました。そこで決まったのが「日韓通貨スワップの3年延長」です。ニュースの見出しだけを見ると難しそうな言葉が並んでいますが、ポイントさえ押さえれば、しくみはシンプルです。

しかもこの日、韓国の株式市場では代表的な株価指数KOSPI(コスピ)が大きく下落し、ウォンも対ドルでやや安くなりました。「株価が急落した日」と「通貨の安全網を延長した日」が重なったわけです。この記事では、通貨スワップとは何か、今回何が決まったのか、そして日本から韓国へ旅行や買い物をする人にとってどのような意味があるのかを、順を追って解説します。

この記事のポイント

  • 2026年10月15日、韓国のイ・ヒョンイル(李炯日)副総理兼財政経済部長官と日本の片山さつき財務相が、バンコクで日韓通貨スワップの延長に合意しました。
  • 規模は現行と同じ100億ドル。現在の契約は今年11月末までですが、2029年11月まで3年延長されます。
  • 通貨スワップは、いざというときにドルを借りられる「お金の非常用ロープ」のようなものです。
  • 同じ日、KOSPIは7.57%下落して5,554.22で取引を終え、ウォン・ドル相場は午後3時30分時点で1ドル=1,344.6ウォンでした(聯合ニュース)。
  • スワップの延長は、旅行で使う円とウォンの交換レートを決めるものではありません。この記事では相場予想や投資の推奨は行いません。

そもそも「通貨スワップ」とは?

「スワップ(swap)」は英語で「交換する」という意味です。通貨スワップは、国同士が「万一のときは、お互いの通貨を交換して融通し合う」と前もって取り決めておくしくみです。

身近な例で考えてみましょう。知人同士で「どちらかが財布を忘れたら、もう一方が立て替える」と約束しておくとします。実際に忘れなければ、お金は一円も動きません。それでも「いざとなれば助けてもらえる」という安心感があるだけで、落ち着いて行動できます。通貨スワップも、これに近いものです。

国際的な資金のやり取りで最もよく使われるのは米ドルです。輸入代金の支払いや海外からの借入金の返済など、ドルが必要になる場面は数多くあります。平時は問題がなくても、世界の市場が大きく揺れたときに「ドルが手に入りにくい」状態になることがあります。そうした事態への備えが通貨スワップです。

現在の日韓スワップのしくみ

報道によると、現在の日韓通貨スワップは「ドルを基本とする」形です。韓国がウォンを預けると、日本側からドルを借りられます。反対に、日本が円を預けると、韓国側からドルを借りられます。つまり、どちらの国から見ても「自国通貨を預けてドルを借りる」形になっています。

2023年より前のスワップは少し異なり、韓国がウォンを預け、日本側から円とドルを合わせて借りる「ハイブリッド方式」だったと伝えられています。2023年の再開時に、全額をドルに統一する形に変わったことが注目されました。

通貨スワップのしくみを表すインフォグラフィック
通貨スワップのしくみ(イメージ)
画像:AI生成イメージ

今回何が決まったのか

韓国の財政経済部(日本の財務省にあたる役所)の発表を伝えた報道によると、決まったことは次のとおりです。

  • いつ・どこで:2026年10月15日、タイのバンコク。G20・G7財務相会議や、IMF(国際通貨基金)・世界銀行の年次総会にあわせた二国間の会談でした。
  • 誰が:韓国のイ・ヒョンイル副総理兼財政経済部長官と、日本の片山さつき財務相。
  • 何を:100億ドル規模の日韓通貨スワップを3年延長。規模はそのまま。
  • いつまで:今の契約は2023年12月1日に始まり、今年11月末が期限でした。これが2029年11月まで延長されます。

両大臣は、「最近、両国の通貨当局は外貨を十分に確保している」という点で認識が一致したとされています。そのうえで、通貨スワップが日韓の金融協力の「象徴」として大切だと考え、延長を決めたと説明されています。ここが重要な点で、「今すぐドルが足りないから借りる」という話ではありません。「差し迫った必要はないが、協力関係と備えは維持しておく」という決定です。

また両者は、今年3月に東京で開かれた第10回日韓財務対話での合意を踏まえ、次の日韓財務対話をできるだけ早く韓国で開くことでも意見が一致したと伝えられています。

同じ日のKOSPI急落とウォン相場

このニュースが出た10月15日は、韓国の株式市場が大きく揺れた日でもありました。聯合ニュースによると、KOSPIは前日比454.59ポイント(7.57%)下落し、5,554.22で取引を終えました。取引開始後まもなく、売り注文が急増した際に一時的にブレーキをかける「サイドカー」も発動されました。ロイター通信は、この終値が4月7日以来の低さで、7営業日連続の下落だったと伝えています。

ウォンの動きも確認しておきます。聯合ニュースによると、ソウル外国為替市場のウォン・ドル相場は、午後3時30分の時点で1ドル=1,344.6ウォンでした。前日より6.3ウォンのウォン安です。取引は1,342.0ウォンで始まり、午前11時ごろには1,353.0ウォンまで上昇する場面がありました。「1ドルを買うのに必要なウォンが増えた」ということなので、ウォンの価値がやや下がったことを意味します。同じ報道では、外国人投資家が株を3兆6千億ウォン分、売り越したとも伝えています。

ここで注意したいのは、スワップの延長と株価の下落は「別々の出来事」だということです。延長は以前から期限が迫っており、協議が続いていたものです。株価下落を受けて急きょ決めたという報道は見当たりません。ただ、市場が揺れた日だったからこそ、「いざというときの備えがある」というニュースは、冷静に受け止める材料の一つになると言えます。それが相場をどう動かすかは、この記事では予想しません。

日本から見たポイント

日本に住んでいる人から見ると、このニュースはどう映るでしょうか。要点を表にまとめました。

項目日本から見たポイント
誰と誰の合意か日本の財務相と韓国の副総理兼財政経済部長官が合意しました。店頭や銀行の両替レートを決める取り決めではありません。
融通する通貨現在のしくみはドルが基本。円とウォンを直接交換する形ではありません。
規模100億ドルのまま。増えても減ってもいません。
期間今年11月末の期限が、2029年11月まで3年延長されます。
現在使われているか両国とも外貨は十分にあるという認識で一致しています。「使うため」より「備えと協力関係の維持」の意味が大きい決定です。
旅行の両替への影響延長で円・ウォンのレートが決まるわけではありません。レートは毎日の市場で動きます。
日韓関係の目安として過去には関係が冷えた時期にスワップが止まったこともあり、続いていることそのものが協力のサインとして見られています。

円とウォン、旅行や買い物への影響は?

韓国旅行が好きな方にとって最も気になるのは、「では、両替は有利になるのか」という点でしょう。答えは「このニュースだけで決まるものではない」です。

円とウォンの交換レートは、日々の外国為替市場で、多くの個人や企業の売買によって動いています。円と米ドル、ウォンと米ドル、それぞれの動きが組み合わさって、円とウォンの関係が決まります。そのため、ウォンがドルに対して安くなった日でも、同じ日に円もドルに対して動いていれば、円から見たウォンの値段がどうなったかは別途確認する必要があります。この記事では、10月15日の円・ウォンの確かな数字を確認できなかったため、あえて掲載していません。

旅行や買い物の前にできることは、ごくシンプルです。

  • 出発前に、その日のレートを自分で確認する:銀行や両替所が公表しているレートを確認しましょう。ニュースの数字は「その時点」のものです。
  • 両替手数料も確認する:同じ日でも、空港、街の両替所、銀行、カード払いなどで、実際に受け取る金額は異なります。
  • カード払いでは通貨選択の画面に注意:海外の店舗で「円で払いますか?ウォンで払いますか?」と聞かれることがあります。どちらが有利かは条件によって変わるため、表示される金額をよく確認して決めましょう。
  • 予算には少し余裕を:レートは日々動くため、ぎりぎりの予算より、少し余裕を持たせておくと安心です。

通貨スワップは、言わば「国同士の非常用ロープ」です。旅行者の財布に直接つながっているわけではありませんが、金融市場が大きく揺れたときに、国が混乱に陥りにくくするための仕組みの一つです。その意味で、旅行や買い物を間接的に支える土台と考えると分かりやすいでしょう。

日韓通貨スワップの歩み(年表)

報道で確認できたことだけを、年表にまとめました。

時期できごと
2001年日韓通貨スワップが20億ドルで始まる。
2011年世界金融危機やヨーロッパの財政危機などを経て、規模が700億ドルまで広がる。
その後日韓関係が冷え込む中で、規模が縮小していく。
2015年2月残っていた100億ドルの契約が期限を迎えて終了。ここから8年以上途絶える。
2023年韓国のチュ・ギョンホ副総理兼企画財政部長官(当時)と日本の鈴木俊一財務相(当時)の合意で復活。全額ドルを基本とする形に。
2023年12月1日100億ドル、期間3年の新しいスワップが始まる。
2026年3月東京で第10回日韓財務対話。スワップを含む金融協力の重要性を確認し、改善について話し合いを続けることで合意したと報じられる。
2026年10月15日バンコクで、100億ドルのまま2029年11月まで3年延長することで合意。

こうして並べてみると、日韓のスワップは、両国関係や世界経済の状況に合わせて、拡大、停止、再開を繰り返してきたことが分かります。今回は「途切れずに継続する」ことが決まった点がポイントです。

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4コマで分かる通貨スワップ(イメージ)
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公式原文

日本の財務省と韓国の財政経済部が、それぞれ公式に発表しています。要点は「100億ドルの規模はそのままで延長する」ことです。

なお、新しい期限「2029年11月まで」は、両国の発表文には書かれておらず、財政経済部の担当者が聯合ニュースに説明した内容です。

Q. よくある質問(FAQ)

Q. 通貨スワップの延長で、韓国旅行の両替は有利になりますか?
A. このニュースだけでレートが決まるわけではありません。円とウォンのレートは毎日の市場で動きます。旅行の前には、その日のレートと手数料を自分で確認しましょう。

Q. 「100億ドル」は、もう貸し借りされているのですか?
A. 通貨スワップは「必要なときに使える枠」です。今回の報道では、両国とも外貨を十分に持っているという認識で一致したと伝えられています。

Q. 円とウォンを直接交換するのですか?
A. 現在のしくみはドルが基本です。韓国はウォンを、日本は円を預けて、相手からドルを借りる形だと報じられています。

Q. KOSPIの下落を受けて、急きょ延長したのですか?
A. そのような報道は見当たりません。現在の契約は11月末が期限で、3月の日韓財務対話の頃から延長について協議が続いていました。

Q. 2029年11月以降はどうなりますか?
A. まだ決まっていません。その時点で両国が協議することになります。

ご注意(免責事項)

この記事は、2026年10月15日の日韓両国の公式発表と報道をもとに、しくみを分かりやすく解説するものです。為替や株価の予想、投資や両替の推奨を目的としたものではありません。数字は報道された時点のもので、その後変わることがあります。お金に関する判断は、最新の公式情報を確認したうえで、ご自身の責任で行ってください。画像はすべてAIで作成したイメージです。

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